空翔る一族
ホテルの廊下を進んでくるトレントの姿を目にした瞬間、思いがけぬ再会にペイジの足取りは鈍り、背筋にいやな汗が流れた。
一年前、従業員のペイジは仕事で滞在中のトレントと出会い、誘われるまま、彼のスイートルームに行くという過ちを犯したのだ。
甘美とは程遠く、惨めな思いだけが残ったひととき――あの夜に与えられた屈辱はいまも忘れていないが、それでも礼儀を貫こうと、ペイジはぎこちなく挨拶した。
あろうことか一方のトレントは彼女の顔すら覚えておらず、ペイジはさらに傷つき、これ以上はかかわるまいと心に決める。
後日、トレントが態度を変えてデートに誘ってくるまでは。
■名家ハイタワー家の確執と絆を描く三部作〈空翔る一族〉もついに最終話。
前作で異母妹をいじめていた、長男トレントの物語です。
仕事で訪れた先で、突然見知らぬ女性に声をかけられた彼は……。
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