地中海の王冠
「僕は君たちを二人ともクリセイスに連れていきたいんだ」エルサは、ステファノスという男性の提案に驚いていた。
オーストラリアで暮らす彼女は、四年前、親友夫妻を事故で亡くし、残された娘のゾーイを引き取って一人で育てていた。
そのゾーイが地中海の公国クリセイスの王位継承者になったというのだ。
ゾーイの父親がその島国の生まれとは聞いていたけれど、まさか摂政であるステファノスから、一緒に帰国を迫られるなんて。
それも、まだ八歳のゾーイの養育係として。
これまで研究を続けてきた海洋生物学以外、何も知らない私が……。
ためらいつつも、エルサはわが子同然のゾーイのために島へと旅立った。
幼いころ夢見た宮殿へのあこがれと、まだ見ぬ国への期待を胸に。
■国王亡きあと、三つの公国が復活したダイヤモンド諸島。
三部作のフィナーレを飾るのは、最も小さな国クリセイスの物語です。
地中海の島々が美しい印象を残す最終話を、ぜひお楽しみください。
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