荊の城に眠る乙女
結婚式の誓いのキスは、眠りの呪いを解く魔法。
15歳のその日まで、アルティは城に住む幸せな少女だった。
だが悲劇的な事故で母を亡くしたことがトラウマとなって以来、人に会うことも、城の外に出ることもできなくなってしまった。
10年後――。
城は朽ちかけ、財産も底をついたが、美しい女性に成長したアルティは、世界を知らないままだった。
そんなとき、若きイタリア人富豪ルカ・フェランテッリが現れ、城を買い上げたから出ていくように、とアルティに告げたのだ。
そんな……わたしはこの城を、出たくても出られないのに。
青ざめる彼女にルカは続けた。
「いやなら、僕の妻になるんだ」■作家競作ミニシリーズ〈7つの愛のおとぎばなし〉がついに最終話を迎えます。
ヒロインのアルティは現代の『眠れる森の美女』。
10年もの時を城から一歩も出ずに過ごし、当然デートもキスも未経験。
そんな彼女が稀代のプレイボーイ富豪の妻となり……。
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