領主様の家庭教師
恋人はおろか、愛人にもなれない。
ましてや、彼の妻になど。
家庭教師のフランシスは自らを戒めていた。
彼に惹かれてはいけない。
初仕事として派遣されたのは、遠く離れたスコットランドの領主の館。
主であるラクランに、ロンドン社交界の作法を教えることだった。
伯爵令嬢の婚約者がいながら、貴族のしきたりには無関心な彼を、ダンスや求愛のレッスンを通して完璧な紳士に仕立てあげるのだ。
若い女教師の指図などおとなしく聞くはずもない傲慢な領主は、フランシスと踊りながらも投げやりで、誘惑的な冗談でからかってくる。
野性的な美貌を持つこの男性に、軟弱なワルツなど似合わない――彼には、情熱的な愛こそふさわしい。
握られた手を強く意識しながら、フランシスの胸は疼いた。
それを私が知ることは、決してないけれど。
■ミシェル・ウィリンガムのすばらしいデビュー作をお届けします! 悲しい過去を乗り越えるため、男爵の娘ながら家庭教師として身を立てる健気なヒロインと、氏族のために伯爵令嬢を妻に迎えることが決まっている領主の許されぬ愛。
圧巻の読み応えをお約束します。
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