真実は薄い膜の中で眠る
あの人は自分の妻だった。
そのはずだった──。
謎に包まれた妻の死によって、志信は過酷な運命の渦中に飲 み込まれる。
周囲から孤立し、誤解され、それでも耐え続け る志信。
同性愛者である彼にとって、妻を愛することはでき なくとも、彼女の想いを守りつづけることこそが絆だった。
残された亡き妻の遺産を狙い、彼を捕えようとする悪意の 罠。
戸籍に隠された残酷な現実。
しかし、汚辱にまみれても、絶望に突き落とされても、美し さと矜持を失わない彼の姿に心惹かれる者もいた。
運命に翻弄されつづける主人公に、真実の愛はとどくのか。
息が詰まるほどの愛が描かれる長編ミステリー、完結!
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