この夜を越えて
「水晶の夜」の2年前、1936年3月のフランクフルト。
ヒトラー総統の来訪に沸き立つ街で、19歳のザナは兄嫁が開くパーティーの準備に奔走していた。
食い扶持を稼ぐためにナチスにおもねらざるをえない小説家の兄、愛と夢に生きる兄嫁、美しい友人とそのユダヤ系の恋人、仕事を干された反ナチのジャーナリストに、親衛隊や突撃隊の青年たち。
ザナの周りの人々は、それぞれの生活と思想を守るのに精一杯だ。
パーティーの夜、恋人フランツがケルンからザナを訪ねてくる。
ある凶報とともに……。
20世紀前半のドイツを代表する女性作家が、ナチスが台頭する瞬間をリアルタイムで描いた群像劇。
更新中です。しばらくお待ちください。