レクイエム・影と光の中に
壮年期を迎えた一人の女性が、親族や隣人の死を通して人生を見つめなおしていく物語です。
題名の『影と光の中に』は、ロマン・ロランの小説『魅せられたる魂(みせられたるたましい)』の中の、『……彼の部屋の明暗の中に、一々の動作を包む影と光の中にいる。
人はもはや彼の顔や、彼の言葉を描く必要はない。
彼はわたしたちの呼吸に混じっている……』からとりました。
彼とは、主人公アンネットが後半生に出会った盟友、ブルノー伯爵のことですが、社会主義運動に身を投じ、消息の絶えた友の死を彼女はこのように予感します。
そして彼が(その死によって)、人々にはもはや心配する必要がなくなった存在であることを理解します。
この小説を通して私の書きたかったこともそこにありました。
不幸にして死というものが避けられなくなったときでも、人生を輝かせて生きることもできるということを、実際にある人々を通して学んだことを、書いてみたいと思いました。
家族をはじめとした人との絆、かかわりも考えてみたかったことの一つですが、死の問題とともに、生きるということを見つめたいと思いこの小説を書きました。
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