中三寮始末記
この物語の舞台は昭和四十年代中頃の南九州T町にあるカトリック系男子進学校の中学・高校である。
ある年の中学入試合格者決定の際、入学者数予測で学校は大きな見込み違いを犯してしまい実際の入学者数が定員を四十五人もオーバーする事態を招いてしまった。
これがこの物語の発端である。
学校はクラスを増設してどうにかなったが問題は寮であった。
新入生は約半分の自宅通学者を除けば、ほぼ全員が入寮希望者であるため限られたスペースに全員を収容することは不可能であった。
そこで学校首脳陣が考えた苦肉の策は使わないで放置している古い木造の特別教室棟の一部を改装して中学三年生を収容するというものであった。
中学三年寮の急拵えである。
これを知って一番驚いたのは当の中学三年寮生であった。
寝耳に水の話で、なぜ学校の失策の責めを自分たちが負わなければならないのかという不平不満は各人が一様に感じたところである。
やっと最上級生になって下級生に睨みをきかせる立場になれると思っていた矢先のこの変事はとうてい、承服できるものではなかった。
寮生たちは学校に対して反目し、様々なトラブルや、はみ出し行為、挫折などを経験する。
悲喜こもごもの出来事や これに関わった二人の舎監との関係などを通して、たくましく成長していく寮生たちの一年間の生活を描いたものである。
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