レインがぼくをこわしてもかまわない。<br />願いが叶わないのであれば、おなじ――。<br />真冬の深夜、「ぼく」は自分の部屋の鍵を落とし、アパートの廊下にすわりこんでいた。<br />ひと晩泊めてくれた隣人の部屋で見かけた、Rainという名のお香の匂いは、懐かしくせつない遠い雨の記憶を呼び起こそうとするが...。<br />いとおしく、恋しく、かなしい。<br />雨の日のまどろみにも似た恋愛文学。<br />(電子書籍版のみ、短編『ラヴレター』を同時収録。<br />)