生まれ育った新潟県新発田市――’散らかしたまま放置した子供部屋のような町’からまもなく旅立つ少年は、思い出の場所を巡るうちに自らの記憶の狭間迷い込んでいく。<br />幼い頃に遊んだ城のお堀、市役所の庁舎、そして学校――歩き疲れた少年の前に、そのSLは現れた。<br />無遠慮で奇妙な車掌と言葉を交わし、街で過ごした時間を走馬灯のように振り返りながら走る汽車はどこへ向かうのか。<br />鮮烈な幻想青春譚。<br />