願い通りへの遠回り
プロのカメラマンである平野浩二とグラフィックデザイナーの佐山由香が一緒に暮らすようになって、結構な時間が経っていた。
由香は重度の難聴で、浩二はそれがとても心配だった。
今は都会でともに生活をしているが、都会は危険だらけだ。
車に自転車、容姿に恵まれている由香は街中で声をかけられることも多かった。
浩二は都会は危険だからと田舎暮らしを由香に提案するも、由香はそれを受け入れない。
そのうち、浩二は仕事でアフリカへ行くことになった。
浩二がアフリカで充実した仕事をしている一方で、由香はスランプに陥っていた。
ある日、信頼している上司から叱責され、やけ酒をあおってしまう。
ふらふらの状態の由香は帰り道、車に轢かれてしまう。
大怪我をして入院するも、浩二とは連絡が取れない。
浩二は現地で携帯をなくしていた。
ようやく連絡のついた浩二に由香は田舎暮らしがしたいと伝えるが、今度は浩二が報道写真家になるから待ってくれと言う。
次第に浩二からの連絡も減っていった。
浩二に黙って事務員に転職していた由香は、同僚と寝てしまう。
由香からの謝罪のメールを受け取り、浩二は一方的に由香との関係を終わらせた。
直接謝罪をしようと由香が現地へ向かうと、浩二は現地の女性と結婚していた。
由香は事務員の仕事も辞め、カメラの勉強を始める。
そのうち、浩二の背中を追いかけるように報道写真家を目指すようになっていった。
報道写真家になって由香は改めて、浩二への想いを痛感した。
帰国した由香を空港で待っていたのは、年を重ねた浩二だった。
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