妹尾乙芽は、身に覚えのない飛び降り自殺の悪夢に悩まされていた。<br />‘エニグマの君’こと姉帯梢は、前時代的な夢判断を引き合いに出し、自殺の夢は自己の再誕と新生を暗示する吉兆だと語る。<br />しかし、解決の糸口を見つけられず精神の均衡を徐々に失っていく乙芽。<br />新生を望んでいるのは、本当に自分なのか? 今を生きているはずの自分の主観が、見知らぬ誰かの夢でない確証がどこにあるのか? 有機物と無機物のはざまで、乙芽は翻弄される。<br />