不器用な騎士は一途な姫君が愛しすぎて、素直になれません
幼い頃、迷子になったところを助けられてからというもの、第三王女であるアリシアは兄の幼馴染であり騎士であるサイラスに片思いをしていた。
そんなある日、先の戦での活躍への褒美として、サイラスに王女の一人を妻として与えることが決定する。
「自分こそがサイラスの妻に」と願いつつも、姉のルーシアとサイラスの仲が良いことを知っているアリシアは、姉とサイラスが結婚するものだと思い込み、失恋を覚悟していた。
しかし、父である国王が指名したのは姉ではなくアリシアだった。
サイアスの妻になれる。
喜びに胸踊らせながらも、アリシアの心にはわだかまりが残る。
「サイアス様は、私ではなくお姉さまと結婚したかったのではないかしら?」 サイアスにも姉にも問うことのできない疑いを胸に隠したまま始まった新婚生活だったが、サイアスから向けられる優しい眼差しに、「もしかしたら、このまま幸せな夫婦として過ごしていくことができるのではないかしら」と、アリシアは希望を見出す。
しかしそんな幸せも一瞬のことで、初夜以来、サイアスはアリシアを避けるようになる。
優しい言葉をかけてはくれるものの、ハグもキスもしてくれないサイアスに、アリシアは深く傷つく。
しかも偶然にも、サイアスとルーシアが仲睦まじく頬を寄せ合う姿を目撃してしまい……。
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