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箱庭の夜明け

裕福な家庭に生まれ、見た目も頭も悪くない大学生の晃は「生まれながらに勝ち組」と言わている。
しかし晃自身はそんなことには興味がない。
晃のことを跡取りとしてしか見ていない父親と、自分を金づるとしか思っていない友人たち。
そんな周囲に嫌気が差し、講義をサボった晃は初めて、大学の裏の博物館に足を踏み入れる。
寂れた博物館には小さな展示室があるだけで、客は晃一人。
ガランとした展示室に飾られた古代の夫婦茶碗を眺めていると、学芸員の恵一が声をかけてくる。
落ち着いた喋りと穏やかな声のその男の解説は、なぜか晃の心に響き、その日以来晃は、博物館に足繁く通うようになる。
どこか無気力感を漂わせる恵一のことがやけに気になる晃。
恵一の解説がうまいからだ、と思い込もうとする晃だったがとある雨の日。
ふたりの関係は決定的なものとなってしまい……。




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