呪われた令嬢の初恋
「婚約者を死に至らしめる呪われた令嬢」――ルクール国ヒンデミット公爵家の長女グレーテは、婚約者が次々と不慮の死を遂げたことでそう噂され、周囲の貴族だけでなく両親と妹たちからも敬遠されていた。
そんな折、公爵家に国王から縁談の打診が来る。
相手は隣国アルテアの指導者の息子だという。
王を喪って間もない小国であるアルテアは、ルクール国民から見下されており、妹たちは断固として縁談を拒否。
結局、厄介払いも同然の形でグレーテが嫁ぐこととなる。
侍女のレネだけを連れてアルテアへ向かうグレーテだったが、道中で馬車が事故に遭ってしまう。
あわやというところでアルテアの騎士団に救出され、手当を施されてベッドで目覚めたグレーテは、一人の騎士が自分を膝に抱きかかえ、「もう大丈夫ですよ」と優しく囁いてくれたことを思い出す。
そこへ件の騎士が見舞いに訪れ、侍女のレネや御者、馬も大事には至らなかったと教えてくれた。
安堵したグレーテが名を尋ねると、彼は「エリク=ヴァレンタ」と名乗る。
そう、彼こそがグレーテの婚約者だったのだ。
その事実を知ったグレーテは、咄嗟に婚約の解消を申し出てしまい……。
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