享保五年(一七二〇)。<br />十九歳の拓蔵は、亡き母に苦労をかけた父を殴るため、信州からはるばる江戸に出てきた。<br />だが火消し‘加賀鳶’の徹次に拾われて、父が江戸で‘水神の辰’と慕われた伝説の火消しであったこと、そして昨年の火事で死んだことを知る。<br />拓蔵は加賀鳶に入り、周囲とぶつかりながらも火消しの仕事にやりがいを見出していく。<br />その頃、江戸の町ではつけ火が続いて──。<br />まっすぐな若者の奮闘と成長を描く、痛快時代小説!文庫オリジナル。<br />