「宇多莉町には何もない」。<br />住民が揃ってそう口にする田舎町で生まれ育った青砥佑太は、十四歳の夏、裏山で巨大な宇宙船の墜落を目撃する。<br />十年後、宇宙船に乗っていた異星人は地球社会へと徐々に溶け込み、佑太は近隣の大都市・舞楼市に移住して無気力な生活を送っていたが、彼らの関係性は「あるアイドルの握手会」から劇的に変わっていく。<br />過去と未来、共生と排斥、都市と辺境、世界と自己――。<br />人が自身と異なる存在とどう向き合うかを描いた物語。<br />