東京、午前一時。<br />この街の人々は、自分たちが思っているよりはるかに、さまざまなところ、さまざまな場面で誰かとすれ違っている――映画会社で〈調達屋〉をしているミツキは、ある深夜、「果物のびわ」を午前九時までに探すよう頼まれた。<br />今回もまた夜のタクシー〈ブラックバード〉の運転手松井に助けを求めたが……。<br />それぞれが、やさしさ、淋しさ、記憶と夢を抱え、つながっていく。<br />月に照らされた東京を舞台に、私たちは物語を生きる。<br />幸福な長編小説。<br />