父親の時蔵に置き去りにされた芳樹が、「立場茶屋おりき」で暮らしはじめて、ひと月あまり。<br />皆とすっかりなじんだ矢先、ばくちに手を出して江戸追放と決まった時蔵が、芳樹を迎えにやって来た。<br />おりきは、二人の門出に、心尽くしの祝い膳を用意したが……。<br />(「母子草」より)。<br />表題作他「斑猫」「藤の雨」「蛇苺」の全四話を収録。<br />苦難にあっても、皆で力を合わせて懸命に生きる人びとの、涙と笑いと意地と誇りを描き切る、書き下ろしシリーズ、第八弾。<br />