家の声が聞こえる──幼い頃から不思議な力を持つ大学院生・遠野守人。<br />縁あって、川越は菓子屋横丁の一角に建つ築七十年の古民家で、住みこみの管理人をすることになった。<br />早くに両親を亡くし、人知れず心に抱くものがある守人だったが、情緒あふれる町の古きよきもの、そこに集う人々の物語にふれ、自分の過去にむきあっていく。<br />人もものも、記憶を抱いて生まれ変わることができる。<br />心のいちばんやわらかな場所にやさしく沁みる新シリーズ、第一作。<br />