藩主の腹違いの弟・松之助警護の任についた保坂市之進は、周囲の見せる困惑と好奇の色に苛立っていた。<br />保坂家にまつわる因縁めいた何かを感じた市之進だったが……(「鷺の墓」)。<br />瀬戸内海の一藩を舞台に繰り広げられる人間模様を描き上げる連作時代小説。<br />「一編ずつ丹精を凝らした花のような作品は、香り高いリリシズムに溢れ、登場人物の日常の言動が、哲学的なリアリティとなって心の重要な要素のように読者の胸に嵌め込まれてくる」と森村誠一氏絶賛の書き下ろし時代小説!