警視庁捜査一課の箕島朗は、小菅の東京拘置所に向かった。<br />面会相手は死刑囚・明石陽一郎。<br />十四年前に四件の殺人を犯したとされる男である。<br />事件当時大学生だった箕島は、恋人の久保真生子を殺されていた。<br />最近発生した〈ストラングラー〉と呼ばれる犯人による連続殺人は、明石の事件と共通項が多い。<br />懸命に感情を押し殺して尋問する箕島に、明石は驚くべき発言をする。<br />「十四年前の事件は冤罪だ。<br />あんたに、おれの無実を証明する手助けをしてほしい」─。<br />