化政文化華やかりし頃、瀬戸内の湊町・尾道で、花鳥風月を生涯描き続けた平田玉蘊。<br />楚々とした美人で、一見儚げに見えながら、実は芯の強い蘇鉄のような女性。<br />頼山陽と運命的に出会い、お互いに惹かれ合うが、添い遂げることは出来なかった……。<br />激しい情熱を内に秘め、決して挫けることなく毅然と、自らの道を追い求めた玉蘊を、丹念にかつ鮮烈に描いた、気鋭の時代小説作家によるデビュー作、待望の文庫化。<br />