津山藩士の生瀬圭吾は、家格をおとしてまでも一緒になった妻・美音と母親の三人で、つつましくも平穏な暮らしを送っていた。<br />しかしそんなある日、城代家老から、年貢収納の貫徹を補佐するように言われる。<br />不作に加えて年貢加増で百姓の不満が高まる懸念があったのだ。<br />山中一揆の渦に巻き込まれた圭吾は、さまざまな苦難に立ち向かいながら、人間の誇りと愛する者を守るために闘うが……。<br />市井に生きる人々の祈りと夢を描き切る、感涙の傑作時代小説。<br />(解説・細谷正充)