「コロッケ」「キャベツ炒め」「豆ごはん」「鰺フライ」「白菜とリンゴとチーズと胡桃のサラダ」「ひじき煮」「茸の混ぜごはん」……東京の私鉄沿線のささやかな商店街にある「ここ家」のお惣菜は、とびっきり美味しい。<br />にぎやかなオーナーの江子に、むっつりの麻津子と内省的な郁子、大人の事情をたっぷり抱えた3人で切り盛りしている。<br />彼女たちの愛しい人生を、幸福な記憶を、切ない想いを、季節の食べ物とともに描いた話題作、遂に文庫化。<br />(解説・平松洋子)