友人・吉元の家探しを手伝いはじめた’わたし’。<br /> 吉元が「これぞ理想」とする木造アパートはあいにく満室。<br /> 住人を一人追い出そうと考えた二人だが、六人の住人たちは、知れば知るほどとらえどころのない不思議な人間 たちばかり。<br />彼らの動向を探るうち、やがて’わたし’も吉元も、影のようにうろつきはじめている自分に気づき……。<br /> 奇怪な人間模様を通じて、人々の「居場所」はどこにあるかを描く長篇。<br /> (解説・池田雄一)