あおいはしの、その先の
笹本将輔、35歳。
芸人の夢を諦め、地元に戻ってきた。
旧友の結婚式に参加して、鉄板焼き屋の店長として生活して、普通の35歳の人生が始まった。
自分で決めて芸人を辞めたからもうやりきった、十分だと思っている。
それなのに、ことあるごとに相棒のことが頭に浮かんで、芸人だった頃の思いが離れない。
いつかこの燻りも、後悔も慣れるだろう。
でも、慣れてしまった自分になることも、怖い。
――なぁ小寺。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
夢破れた男は何度も問い直す。
小山藍子、37歳。
書店で働いている。
しっかりしていないアルバイトを指導しつつ、深夜まで仕事して朝に寝る。
何か変えるきっかけもないから、この生活を変えずにずっと繰り返している。
どれだけ苦しくとも、学生時代に付き合っていた悟のことを思うと頑張れた。
昔と変わらず、漫画家になるという夢を目指している彼が頑張っていると思えば、頑張ることが出来た。
変わらないものがある。
そう信じていられると思っていた。
現実に打ち砕かれた2人の物語。
でも、それらが人生の全てなんかじゃない。
今、夢を目指す人、そして夢を諦めた人に読んで欲しい、ささやかな希望の物語。
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