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枝角の冠

力強い物語。
3人の選考委員が揃って最高点をつけただけあって、のっけから尋常ならざる迫力を感じさせる。
一見、神話的な古代ファンタジーのようにも、先鋭的な(もしくは反動的な)フェミニズムSFのようにも見える作品だが、その人工的な設定にもかかわらず、単純な構造に還元しきれない荒々しい魅力を備えている。
「この作品には、書かれなければならなかった理由がある」(飛浩隆)、「自分が何を書こうとしているか、作者はよくわかっている」「候補作の中で、もっとも社会に出す価値のある作品」(東浩紀)と評された理由も、読めば納得できるはずだ。
ーー大森望(「解説」より)その群れは多数の女とたった一人の「父」から成っていた。
「父」は女とちがい、全身を分厚い毛皮に覆い、頭上には枝角を冠のようにいただいていた。
「父」は年老いると女を殺しはじめ、最も強い女が男となり、年老いた「父」を殺して新たな「父」となる。
13歳の少女ハイラはあるとき、自分の群れの「父」ではない、若い男の姿を見る……。
女とは、男とは、母とは、父とは。
ジェンダーに深く切りこんだ、雄大なる社会派エンターテイメントSF!!<ゲンロン 大森望 SF創作講座>第3期で「ゲンロンSF新人賞」(選考委員:飛浩隆、大森望、東浩紀)に輝いた受賞作が電子書籍化!改稿のうえ、大森望による解説を付す。


#SF



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