しみ
シミが死んだという。
あの頃、シミの部屋に流れていた音楽の名前は、いまだにわからない。
あそこにいた連中の行方も。
でもたしかなのは、ぼくらは音楽みたいに会話を交わし、怪しいバイトに手を染め、とびきり美味いアボカドスープを飲んだってこと。
だけど、シミが死んだって、本当なのだろうか――? まだ何もやり遂げていなかったけど、ぼくらは自由だった。
誰もが通り過ぎてきた人生の断片を、鮮やかに、ときに痛切に、詩的文体で描き出す。
オルタナティヴ文学の旗手・坂口恭平が放つ、傑作青春小説。
※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。
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