旗本・梶川与惣兵衛は、「あの日」もいつもどおり仕事をしていた。<br />赤穂浪士が討ち入りを果たした、世にいう「忠臣蔵」の発端となった松の廊下刃傷事件が起きた日である。<br />目撃者、そして浅野内匠頭と吉良上野介の間に割って入った人物として、彼はどんな想いを抱えていたのか。<br />江戸城という大組織に勤める一人の侍の悲哀を、軽妙な筆致で描いた物語。<br />第3回歴史文芸賞最優秀賞受賞作品。<br />