遠目に望む東京タワーの形は綾取りのようにシンプルだ。<br />しかし、近づけば近づくほど、その高さ333メートルに及ぶ長大なトライアングルは大小さまざまな三角‘トラス’の連なりであることがわかってくる。<br />じつに使われた鋼材の総重量4000トン。<br />かつて‘世界一の自立式鉄塔’と呼ばれた東京タワーの建設は、延べ22万人の職人が命綱なし、ほぼ人力で挑み、成し遂げた大偉業だった。<br />あれからおよそ60年──タワーに込められた昭和の息吹は、いまもなお、そこを訪れる人々の胸を熱くしている。<br />