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記録10号

ウイリアム・クラインは、今もパリの街路のスナイパーであり、人々の‘心の内なる傷痕’を、ワイドレンズで掠め撮りつづけている。
ぼくが受け持つ写真のテリトリーなど、タカが知れたものだが、にもかかわらずぼくは東京の陋巷を撮りつづけるつもりだ。
ぼくらの日常とは、既視感と未視感がスパークする、ぬきさしならない場所なのだ。
折角だから、記録しておかなくっちゃあね。
(「記録 第10号」より 著者コメント)日本、ヨーロッパ、南米などの街頭で撮影され、2008年10月に刊行された森山大道の私家版写真誌「記録 第10号」を電子書籍化。
見慣れたはずの風景。
まだ見ぬ風景。
怯える視線が交差する、時の結晶。
森山大道(もりやま だいどう)/写真家。
1938年10月10日、大阪府生まれ。
岩宮武二スタジオを経て細江英公の助手となり、1964年より独立。
ハイコントラストで粒子の粗い‘アレ・ブレ・ボケ’と称される独自のスタイルを確立するなど、既存の写真表現をラディカルに挑発し続け、世界的にも高い評価を得る。
「量のない質はない」というポリシーのもと、現在でも膨大な数のストリートスナップを撮り続けている。
近年の写真集に『NAGISA』『LABYRINTH』(Akio Nagasawa Publishing)、『カラー』『モノクロ』(月曜社)、『実験室からの眺め』(河出書房新社)など。




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