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記録23号

ロンドン、テムズ河岸の美術館「テート・モダン」で、昨年10月開催された〈WILLIAM KLEIN+DAIDO MORIYAMA〉展は、ぼくの50余年に亘るカメラマン生活のなかでも、特別な展覧会であり、ラッキーな出来事であった。
なぜならば、まだ写真の世界の入口のあたりで、ウロウロ、キョロキョロしていた22才頃のぼくにとって、ウイリアム・クラインの写真集「NEW YORK」との出会いは、まさに決定的なモメントであり、その一冊にぶち込まれた、極めて暴力的かつ自在なカメラ・ワークの氾濫に、見るぼくは目まいに似た眩惑を覚え、生れて初めて、写真という名の映像の持つ、生理的な快感と衝撃を経験させられたからである。
当時のぼくに、理や知などどうでもよく、ただひたすら写真集を手にして‘カッコイイ!’とのけぞってばかりだった。
(「記録 第23号」より 著者コメント)ロンドンでの滞在中に撮影されたエネルギッシュで衝動的なデジタルカラー集。
赤と青で織りなす、森山大道によるユニオン・ジャック。
路上の息吹が網膜と鼓膜を揺らす。
2013年6月刊行の森山大道の私家版写真誌「記録 第23号」を電子書籍化。
森山大道(もりやま だいどう)/写真家。
1938年10月10日、大阪府生まれ。
岩宮武二スタジオを経て細江英公の助手となり、1964年より独立。
ハイコントラストで粒子の粗い‘アレ・ブレ・ボケ’と称される独自のスタイルを確立するなど、既存の写真表現をラディカルに挑発し続け、世界的にも高い評価を得る。
「量のない質はない」というポリシーのもと、現在でも膨大な数のストリートスナップを撮り続けている。
近年の写真集に『NAGISA』『LABYRINTH』(Akio Nagasawa Publishing)、『カラー』『モノクロ』(月曜社)、『実験室からの眺め』(河出書房新社)など。




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