かつてこの国にあった美童文化。<br />江戸・明治の錦絵に刻まれた男倡の影。<br />文豪が変名で寄せた同性愛小説。<br />菊、梅、杜若、水仙の華に込められた、若契と衆道のサイン――。<br />幾重にも響きあって呼応する文化の複層にわけいれば、ときに秘され、ときに失われた男色の景色が浮かびあがる。<br />万葉集の相聞歌から、平安貴人の日記、世阿弥、琳派、三島由紀夫、川端康成、中原淳一まで。<br />今はなき東京の盛り場を訪ねた「東都戦後男色地図」を増補。<br />