周りには乗客がいなかった。<br />ずっと離れた席に老夫婦が二組いたが、席が向こう向きだった。<br />私たちを見ることができない場所だった。<br />萌子は出航のドラの合図とともに、私の手をとり大胆にも両腕を私の首に巻き、引き寄せた。<br />そして私にブラウスの上から胸を触らせ、接吻をしてきた。<br />接吻は荒々しく情熱がこめられ、舌と舌とが口の中で絡み、吸い込み合った。<br />イチモツは一挙に大きく勃起して、脈を打ちはじめた。<br />――(「人目をはばからず」より)