鬱屈精神科医、お祓いを試みる
開けたら春日先生の脳みその中。
凄腕の精神科医の魂が暴走したら、 もう誰にも止められない。
これはもうリノベーションというより「どこでもドア」だと思います。
(穂村弘・歌人)精神科医は還暦を超えて、さらに危機を迎えていた。
自分は親から、呪いをかけられている。
どうしても、そこから逃れられない。
どうすればいいのか。
小さい頃、盗み聞きした両親の会話(父「あいつ(息子であるわたしのこと)、将来は美容師にしたらどうだろう」。
母「そうね」)や、失明を恐れる母の発言(美しい母は失明への恐怖を持っていた。
その話を脅迫的に聞かされる息子。
無力感しかないが、もし母が視力を失ったら、力関係は逆転し、息子のわたしが主導権を握ることにならないか。
不細工な私は彼女の視野には映らなくなるということではないか。
そうしたら……)などなど、数々の親の呪いを抱えてきたが、年を取る毎に妄想となって膨らむ一方なのだった。
ムージル的に言えば、無自覚のうちに私は不幸におちいっているのかもしれない。
いまやモーパッサン式「御祓い」をするしかない。
そうして、作者はさまざまな方法を試みる。
そして、最後、親の呪いを取り払うために、実家のリノベーションにとりかかる。
はたしてお祓いは成功するのか。
前作に続き、私小説的に綴られる精神科医の痛切なる心の叫び。
更新中です。しばらくお待ちください。