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桂歌丸 正調まくら語り 芸に厳しく、お客にやさしく

内容紹介本書を読むと、あの素晴らしい歌丸師匠の「楷書の芸」が、あなたの心の中で蘇ります。
ぜひ、僕の大好きなお爺さんの口調を思い出してください。
まえがき・あとがき?六代目三遊亭円楽?「大喜利の歌丸で、噺家人生を終えたくない」晩年の歌丸師匠の言葉です。
若くして国民的人気の演芸テレビ番組『笑点』に出演し、50年の長きに渡って回答者、司会者の立場で番組を支えてきた歌丸師匠ですが、番組内の『大喜利』のコーナーの知名度や人気に甘んじることなく、古典落語と高座に真摯に向き合った人生でした。
古典落語という話芸は、江戸時代の社会・生活の教養がないと楽しめない一面がある‘とっつきにくい話芸’です。
古典落語への導入部である歌丸師匠のまくらは、自分の暮らしの中の滑稽なエピソード、誰もが知っている世相の話題への見識から、本編の古典落語に観客を分かりやすく誘う見事な話芸で、縦横無尽に現代と古典の世界をごく自然いつなげ合わせていたまくらでした。
本書は、桂歌丸師が35年の長きに渡って出演した「にっかん飛切落語会」の高座から厳選したまくらを収録しました。
観客に分かりやすく、己の芸に厳しく、古典落語を磨き上げて行った歌丸落語の神髄がここにございます。
平成四年という年は、たかが運送屋一軒の為に(……笑)、なんか日本中が滅茶苦茶になっちゃうような世の中でございました。
金丸信氏は、目の手術をなすったそうですな(……笑)。
やっぱり目が悪いくらいですから、世間が見えなかったんでございますな(拍手)。
でも、大変に良いことを教えてくださいました。
五億の不正をしようと思ったら、二十万で済む時代だそうですね。
あの勘定でいきますと、五千万円の不正は、二万円で済む訳でございます(笑)。
今、一所懸命、二万円を貯めているところでございます(笑)。
一九九二年十二月十五日 イイノホール にっかん飛切落語会 第二〇七夜 『引っ越しの夢』のまくらより




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