田中角栄の勝負は、つねに負け知らずであった。<br />時に、後退と見せかけはするが、それは‘次の一手’への考察機関にすぎなかった。<br />相手はやがてかならず土俵にはうのである。<br />この数々の「政界名勝負」を見てみると、特徴的な‘喧嘩作法’を発見することができる。<br />持ち前の人間収攬(しゅうらん)術と、抜群の統率力、指導力を駆使、人事管理をよくすることに加えた、独自の‘技術論’だといえようか(「はじめに」より)。<br />