だれもが感じているように、現代ほど「わたしがたり」にあふれかえった時代はこれまでになかった。<br />世界的にその傾向にあるのかもしれないが、日本ではこの傾向がとくに顕著であるようにも思われる。<br />(中略)本書は、私なりの想像力をつけくわえて試みた、自画像の歴史をめぐる、21世紀人のためのツアーである。<br />――セルフポートレイト作品を作り続けてきた美術家が約600年の自画像の歴史をふりかえりながら綴る「実践的自画像論」