元来、美術というものは歌謡曲や映画とちがって、すぐに誰にでも入ってくるような安易なものではない。<br />言語と同じく、ある程度の素養が必要であり、センスや好き嫌いではなく、前提となる知識があってはじめて理解でき、感じることができるものなのだ。<br />こうした知識は日本の学校教育では得られないが、美術館に足を運び、適切な美術書を読むことによって培うことができる。<br />(「まえがき」)美術史家と読む美術の本質に迫る55話。<br />