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生かされなかった八甲田山の悲劇

雪中行軍とその2年後に勃発した日露戦争悲惨な「冬の戦争」の実態が暴かれる。
・目的地、目標など計画立案の杜撰さ・凍傷予防の衛生教育の不備と不徹底・糧食の凍結への対処法の欠如・兵站支援の不備と欠如・指揮命令系統の不統一と混乱「冬の戦争」に、生かされなかった教訓の数々。
数少ない生存者たちの証言と上級指揮官たちのその後の行動から、日露戦争と大量遭難の真相に迫る歴史ノンフィクション。
1902(明治35)年1月、雪中訓練のため、青森屯営を出発した歩兵第5連隊第2大隊は、八甲田山中で遭難し、将兵199名を失うという、歴史上未曾有の山岳遭難事故を引き起こした。
のちに新田次郎の小説『八甲田山 死の彷徨』や映画『八甲田山』がともに大ヒットしたことで、フィクションでありながら史実として定着した感が強い八甲田山の雪中行軍。
その点に危機感を抱いた著者は、いくつかの疑問を明らかにし、新たな事実を掘り起こして前作『八甲田山 消された真実』を著わした。
今回はその続編として、雪中行軍の2年後に勃発した日露戦争との関連性と類似性に注目し、八甲田山の悲劇と悲惨な冬の戦争の実態に言及する。
内容は、雪中行軍の生存者たちの証言とその後の彼らの歩んだ生涯、汚点回復のため津川連隊長が執心した半年後の岩手耐熱行軍、そしてついに日露戦争へと突き進む。
完璧な要塞と言われた旅順への総攻撃と二〇三高地の激戦、無能無策な第三軍の戦いに怒った友安旅団長、そして判断を誤った立見師団長の黒溝台会戦など、雪中行軍の上級指揮官たちの日露戦争での行動が明らかとなる。
八甲田山の悲劇からなんの教訓を得ることもなく、悲惨な冬の戦争が繰り返され、多くの将兵たちが犠牲となったのである。
目次第1章 雪中行軍の生存者たち第2章 津川連隊長、窮余の岩手耐熱行軍第3章 旅順総攻撃第4章 友安旅団長の二〇三高地第5章 歩兵第五連隊の出陣と八甲田山追憶第6章 判断を誤った立見師団長の黒溝台会戦第7章 冬の戦争と雪中行軍




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