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ヤマケイ文庫 「アルプ」の時代

山を思索の場とし、研ぎ澄まされた感性を集めた山の文芸誌「アルプ」。
創刊当初から編集に深く関わってきた山口耀久が、次代へ語り継ぐため、渾身の力をこめて「時代」を綴る。
昭和33(1958)年、『アルプ』という雑誌が刊行された。
山の文芸誌として格調の高い文章を厳選して掲載し、多くの読者を獲得した。
当時、マナスルが初登頂され、1958年には『氷壁』がブームになり、『岩と雪』が刊行されている。
第2次登山ブームと言われる登山界の好調期が訪れていた。
こうした時代的背景をふまえつつ、著者と読者に支持され25年間刊行が続いた『アルプ』という雑誌に焦点を当てた評論である。
高度経済成長を経験した昭和の時代の豊かさをひとつの山の雑誌を通して俯瞰した読みもの。
『山と溪谷』に15回にわたって連載された内容に、大幅に加筆・訂正し、ほとんど書き下ろしとと同様の評伝となった。
草野心平、山本太郎、鳥見迅彦などの『歴程』の詩人たち、 武田久吉、田部重治、冠松次郎、尾崎喜八などの明治期の多彩な執筆者たち、 辻まこと、近藤信行などの大正・昭和の新しい執筆者たちなどの人物論や、 山の紀行文における虚と実などの文学論、 「アルプの夕べ」や「アルプ選書」などの催しを詳細に記述。
「アルプ」の誕生から終刊までの背景となった時代や、 「アルプ」に関連した人物、書籍など、 多角的な内容、組み立てとなっている。




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