ヒアリングセックス
’内側’にいた人間のひとりとして、AVで描かれるセックスが多くの方に思い込みや偏った認識を与えてしまっている――言葉は厳しくなりますが、本当にいいセックスをできなくさせている’元凶’だと思っているのです。
(略)ユーザーのニーズを追求するあまり、描写はどんどん過激にエスカレート。
いわゆる’ヌキどころ’ばかりを集め、一方で本来のセックスにあるべきプロセスは排除されていきました。
いま、あらためてAVを観てみると、愛情表現であり愛を重ねる営みとしてのセックスというよりただの交尾のように感じてしまうこともあるほどです。
AVが過激化した結果、実際のセックスでは物足りなく感じてしまうのか、オナニーでないとイケない男性も増えているとも聞きます。
(略)そして、「女性がイクこと」をあたりまえのように描くのもAVの大きな問題点のひとつです。
男性と比較すると、女性のオーガズムの仕組みはとても複雑。
そのため、一度もイッたことがないという女性は男性が想像する以上に多いのです。
セックスは男性が女性を気持ち良くさせてあげるものであり、潮吹きなどの派手なプレイに女性は喜び、女性は誰でも簡単にイク。
それらは残念ながらAVがつくり上げてしまった「ファンタジー」と言っていいかもしれません。
(略)そして、わたしもAV女優としてその一端を担ってしまいました。
わたしは、AV女優として、ソープ嬢としてさまざまなセックスを経験してきた立場から、男女がともに本当に気持ちいいセックスをするための秘訣をお伝えすることで、その贖罪を果たしたいと思っています。
それがこの『ヒアリングセックス』を書こうと思ったきっかけだったのです。
(『はじめに――贖罪を果たすための本書』より)
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