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世界の終わる理由

この世界が存在する価値があるのかを問う問題作!世界一有名と言ってもよい小説に、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』がある。
哲学好きの方は、3兄弟の中でイワンに惹かれる人が多いかもしれない。
イワンとアリョーシャの掛け合いは、作中で屈指の見所となっている。
物語的には、イワンは破滅し、アリョーシャが宗教的な勝利をおさめたかに見える。
しかし、言論における論理としてみると、アリョーシャはイワンを論破できていない。
小説の知名度に比べ、この作品のイワンの問い(★)は、あまりにも哲学的に難解なため、ほとんど論じられてこなかったというのが実情である。
『カラマーゾフの兄弟』には多くの解説書があるが、このイワンの問いに哲学的に肉薄している作品はおそらく皆無。
哲学者ベルクソンですら、『道徳と宗教の二源泉』でこの問題に少し触れているにすぎない。
W.S.モームは『世界の十大小説』で、この問題が未解決なことを指摘している。
イワンの問いと類似した問題は、ウィリアム・ジェームズの『信ずる意志』や、アーシュラ・K・ル・グィンの『オメラスから歩み去る人々』に見ることができる。
しかし、これらの作品でも、問題提起にとどまっており、満足な回答にはいたっていないといわざるをえない。
本書はこの問題に正面から取り組み、論理的な構造を明らかにし、そこから結論を導きだした稀有な書である。
★イワンの問いいいかい、すべての人間が苦しまねばならないのは、苦痛をもって永久の調和を贖うためだとしても、なんのために子供がそこへ引き合いに出されるのだ、お願いだから聞かしてくれないか? なんのために子供までが苦しまなけりゃならないのか、どういうわけで子供までが苦痛をもって調和を贖わなけりゃならないのか、さっぱりわからないじゃないか【目次】第I部──謳われぬ詩はじめに──警告第1章 最強の真実第2章 世界の構造第3章 世界の終わる理由第4章 心の可能性の零点への収束第5章 永遠の沈黙第II部──詠われる歌第1章 真実との対峙第2章 世界の超越性第3章 世界の豊穣性第4章 ある国の真善美第5章 日本の道おわりに参考文献




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