人生とは畢竟、口福に尽きる。<br />池波正太郎の書生を10年務めた著者による食と旅をめぐる痛快エッセイ。<br />〔生来口福〕を生き方の基本に置き、老書生は「飲み食い」に命をかける。<br />移ろいゆく日々のなかで描かれる生活は、まさに粋で生唾もの。<br />「飲み食いに真剣でないということは、そもそも生き方が真剣でないということだ」ほか、その折々に希代の食道楽であった亡師の言葉・思い出が甦る。<br />食をめぐる思索を哲学にまで高めた、これぞ本物の文章、本物の味わい――。<br />