安楽死を遂げるまで
死の「瞬間」にまで立ち会った衝撃ルポ!安楽死、それはスイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、アメリカの一部の州、カナダで認められる医療行為である。
超高齢社会を迎えた日本でも、昨今、容認論が高まりつつある。
しかし、実態が伝えられることは少ない。
安らかに死ぬ――。
本当に字義通りの逝き方なのか。
患者たちはどのような痛みや苦しみを抱え、自ら死を選ぶのか。
遺された家族はどう思うか。
79歳の認知症男性や難病を背負う12歳少女、49歳の躁鬱病男性。
彼らが死に至った「過程」を辿りつつ、スイスの自殺幇助団体に登録する日本人や、「安楽死事件」で罪に問われた日本人医師を訪ねた。
当初、安楽死に懐疑的だった筆者は、どのような「理想の死」を見つけ出すか。
<医師は、老婦に向かって、「もう大丈夫よ、もう少しで楽になるわ」と呟いた。
15、16、17秒、そして20秒が経過した時、老婦の口が半開きになり、枕にのせられていた頭部が右側にコクリと垂れた。
まるで、テレビの前でうたた寝を始めたかのようだった。
……死の直後、犯行現場に居合わせている気分に襲われた。
私は老婦の横で、ただ祈りを捧げ、自らへの罪滅ぼしを演じていた>――プロローグより※この作品はカラーを含みます。
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