戦争と日本アニメ
『桃太郎 海の神兵』は、1945年、戦時下の日本で公開された日本初の長篇アニメーション、国策アニメーションである。
これまでは「日本初」という点で注目され、「プロパガンダ/平和」というイデオロギー的な側面から論じられてきて、映像テクストとそれを支える社会的な背景は正面から検証されてこなかった。
本書では、『海の神兵』の映像テクスト分析を中心におこない、ユビキタス的なありよう、異種混交性・越境性、キャラクター造形の特異性を浮き彫りにして、『海の神兵』の映像技法の先駆性・実験性も明らかにする。
『海の神兵』を支えた当時の文化映画業界や『海の神兵』の東アジアでの受容も掘り起こし、アジア・太平洋戦争と日本アニメーションの関わりを照射する。
日本のアニメーション研究の第一人者・渡辺泰氏による「『桃太郎の海鷲』の思い出」も所収。
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