19世紀ドイツは、ついに自他ともに認める〈音楽の国〉へと上り詰めたが、国家統一をめぐる覇権争いは〈ドイツ音楽〉の理念をも引き裂くことになった。<br />「絶対音楽」をめぐる不協和音から近代ドイツのナショナル・アイデンティティが孕む捻れを照射する。<br />第37回「サントリー学芸賞」受賞。<br />