1921(大正10)年――、雑誌『改造』の求めで連載を起こすも、関東大震災下の「甘粕事件」により、未完で遺された傑作。<br />「陛下に弓をひいた謀叛人」西郷南洲に肩入れしながら、未来の陸軍元帥を志す一人の腕白少年が、日清・日露の戦役にはさまれた「坂の上の雲」の時代を舞台に、自由を思い、権威に逆らい、生を拡充してゆく。<br /> 日本自伝文学の三指に数えられる、ビルドゥングスロマンの色濃い青春勉強の記。<br />