第二次世界大戦中に徴兵され、徴用船の船長として物資の輸送任務に就いていた黒岩亀吉(仮名)は知床半島沖を航行中に嵐に合い、真冬の知床の小屋に部下のシゲとともに取り残される。<br /> 飢えと寒さの極限状態の中、先に餓死したシゲの遺体を船長は口にする。<br />シゲの肉で体力を回復した船長は、流氷の上を渡り、知床を脱出した。<br /> 新聞記者であった著者が15年間におよぶインタビューを経て書き上げた、人間の業を問い掛けるノンフィクション。<br />